6mm方眼ノート

方眼紙に書くと、なんとなく、普通の紙に書くよりも整理できるような気がするよね。

1)当事者は誰か 2)当事者にとってどのような意味があるか という当たり前の話

本日、うちのセンター主催でちょっとしたキャリア教育に関するセミナーがあった。
以前もセミナーで後講壇いただいた事もある、立教学院の高祖先生に基調講演をいただいた。
受講生の評価もなかなか高く、特に日本学術会議という場で学士教育と職業の具体的な接続について真剣且つ前衛的に議論がなされている事に対する関心と期待も見えていた。
 
 
私も後半、お話をうかがっていたのであるが、大変不躾かもしれないが、ひとつどうしても気になる欠落点というか、視座の混濁があるように感じたので、自身の記録の意味も込めて、ここに簡単に記してみようかなと思う。
 
 
談話中で「学生の不安を除き、企業とのミスマッチを防ぐ為にも、企業はもっと採用活動の際に“どのような職場においてどのような人材が欲しいか”をより具体的に見せていく努力をしていただきたいものだ」というくだりがあった。
 
同じ話の中で、「新卒への偏重をなくしていくことも大事だ。卒業までに内定をとり、卒業と同時に新卒採用で正社員にならなければならない、という価値観をもうすこし柔軟にできないものか。“少なくとも卒業後3年くらいは、新卒と同じように扱ってやる”、そそういった姿勢などを企業も検討していただきたい。」とも話されていた。
 
 
私はこのふたつの文脈が、同じ話の中にすんなりと出てくることに強く違和感を感じた。
「新卒」「新卒採用」という言葉の意味あいに「当事者目線」が薄いのではないか、と思えてならなかったからだ。
 
 
 
大学にとって「新卒採用」という言葉はどのような意味を持つのか。
簡単に言えば「在学生を対象とした募集に対し、卒業予定者が在学中に雇用の内定をとる」をさして用いられている。もちろん間違いではないし、それを目指して貰うのは結構だ。
 
しかし、雇用関係における「当事者」は、雇う側の企業と雇われる側の労働者であり、大学はあくまで第三者なのである。より厳密に言えば、当事者=労働者である学生がその活動をより良いものにするためのオブザーバー、サポーターが大学である。
 
当事者である学生にとって新卒採用というものがどんなものか、学生のうちに内定を取るというのがどのような意味を持つのかは、“大学が用意するものではない”。学生の視座に経ち、学生にとって意味のある採用の成功をサポートするという姿勢が必要だ。
(もちろん、主体的に労働への意味、意義を持てない学生に対してそれを換気する教育行為には意味がある。)
 
 
さて、もう一人の当事者である企業にとって「新卒」とはどのような存在であり、「新卒採用」とはどんな意味があり、「新卒採用の成功」とは何を指すのか。それを企業側の視座で想定することが必要である。
 
 企業にとって「新卒採用」とはこのようなものです。
 中途採用などの他の採用活動とはどのような部分が違い、
 こういったものを会社にもたらします。
 
という“雇う側の理屈”を、ある程度理解・認識しておくこと、
また理解しようという姿勢、これが欠如するのは、
大学においてキャリア教育に携わる人々にとってたいへん痛い。
 
「新卒採用」というカテゴリを数字や社会現象としてでなく、“当時者”にとってこのような意味のあることですよ。を認識しなければ、第三者である大学に何が出来るというのか。
 
 
ちょっと好き勝手に書いてしまったので、肝心の
「どうして高祖先生のお話でこのような違和感を覚えたのか」
について全然書けてませんでした…
 
 
長くなってしまったので、また後日しっかりとまとめて記載しようと思います